帰国生入試の概況
外務省発表の統計によると、コロナ禍を経ても海外永住者数が増加傾向であるのに対し、駐在員世帯数はピークだった2019年以降激減しています。それに比例して帰国受験者数も減少傾向にあり、今年も多くの学校で受験者数が減少しました。
受験者数が減ると倍率は下がるので、一見すると合格しやすくなったように見えますが、合格基準点を超えなければ倍率に関係なく合格することはできません。目先の倍率に気を取られず、しっかりと学力を伸ばすことが大切です。
今年の入試トピック
今年の入試では、中大附高の帰国生入試の試験日・内容の変更、筑駒高の通学区域拡大などが大きなトピックでした。
中大附高の帰国生入試はこれまで12月末に2日間で行われていましたが、今年は1月8日のみの実施でした。早い段階で合否が出ることから毎年順調に受験者数を伸ばしていた同校ですが、昨今の全体的な帰国生受験者数減少のあおりを受け、受験者は昨年から27名減って58名という結果でした。
筑駒高では、通学区域の拡大により従来は受験すること自体がかなわなかった地域にお住まいの方でも受けられるようになりましたが、受験者数に大きな変化は見られませんでした。
また、海外帰国生徒の志願者はコロナ禍以降減少が続いています。今年は志願者4名で受験者3名に対して、合格者は昨年と同様1名でした。オンライン化による学習機会の均等化が図られつつありますが、それでもなお、5科目受験のハードルは海外生にとっては高いことがうかがえます。
海外では理社の指導を行う塾が少なく、何をどのように学習すべきか分からない方も多いかと思います。
しかし、英語や国語で理社の内容を題材にした文章が使われること、そして理社を学習しておくことで、国立大附高や公立高、一部の難関私立高にまで受験校の選択肢を広げられることから、最終的な受験校が決まるまでは何らかの形で理社の学習をしておくことをお勧めします。