試験の形式から出願の方法まで、一般入試とは何かと異なる点が多い帰国生入試。特に、海外にお住まいの場合、日本での高校受験に関する情報を手に入れることが困難で、お困りの方も多いのではないでしょうか。ここでは、帰国生の皆さんからよく寄せられる疑問や悩みをまとめてみました。中2生までの皆さんは、まずは基礎から帰国生入試について知っておきましょう。中3生の皆さんは、今一度確認を!
海外滞在中から、一般入試でも通用する実力を
- 帰国生入試は一般入試よりも受かりやすいって、本当ですか?
帰国生入試では、一般生とは別に帰国生枠を設けたり、帰国生に何らかの優遇・加点を行ったり、合格基準を別途設けたりといった、何らかの配慮がなされる場合があります。ですが、これらは全ての帰国生に適用されるので、帰国生同士では有利・不利はありません。
また、入学後は帰国生も一般生も区別なく同じ環境で学ぶ学校がほとんどです。一般入試でも戦える実力を身に付けることを意識して日々の学習に取り組みましょう。
- 海外にいる間、どんな勉強をすればよいでしょうか?
基本的には、日本国内の一般生と同じようにどの科目も満遍なくしっかり勉強しておくことが大事ですが、帰国生ならではの苦手分野や学習上の注意点もあります。
国語に苦手意識がある人は、好きな本や雑誌、新聞を日本語で読むなど、日常生活の中に日本語を積極的に取り入れてみましょう。楽しみながら活字に触れることで、語彙や漢字などの知識がおのずと身に付くはずです。
数学では、日本の高校受験で頻出の関数や相似について正しく理解し、公式や定理・定義を活用できるようになっておきましょう。また、理科・社会の学習は手薄になりがちですが、5科目での受験を検討している人は、海外にいるうちから対策をしておくことが重要です。
- 英語圏に住んでいるので英語を流暢に話せますが、入試対策をしないと駄目ですか?
「日常会話ができる力」と「受験で求められる英語力」は性質が異なるので、対策は必要です。受験では、日常会話では使わないような文法やイディオムなどの知識を問われますし、英作文は書き慣れていないと対応が困難です。さらに、学校によっては現地校やインター校の出身者でも苦戦するような問題が出題されることもあります。帰国生としての確かな英語力という土台を固めた上で、きちんと受験対策をしておけば、安心して入試問題に対応できるでしょう。
- 小論文や作文はどのように対策すれば良いですか?
早大学院の小論文、慶應女子高・都立国際高の作文など、帰国生に人気の学校においても、日本語の「書く」力を測る試験が課されることがあります。これらの試験で高評価を得るためのポイントは二つ。
一つ目は、正しい形式で書くことです。誤字・脱字や主述のねじれ、表現の誤用に気を付けるのはもちろん、原稿用紙を正しく使う、文字を丁寧に書くなどの基本的なルールをきちんと守って書くことを心掛けましょう。
二つ目は、説得力のある論理を展開すること。適切な段落分けができているか、具体例を提示しているか、自分の意見と結論が結びついているかなど、読み手が納得するような内容であることも重要なポイントです。
これらを踏まえた文章を書く上では、日頃から練習をしておくことが必要です。新聞記事や社説などを読んで内容を要約し、自分の意見をまとめてみましょう。書く力をさらに伸ばすには、国語の講師や身近な大人に書いた文章を添削してもらうことがお勧めです。
1月に開講する「帰国入試対策講座」では、各高校の出題テーマに合わせた小論文・作文の演習を実施し、添削指導も行います。小論文・作文の試験がある高校を目指す方には最適です。
模試を活用して正確な学力を把握
- 日本国内の受験生と比べて、自分はどれくらいの実力なのか分からず不安です。
海外にいると、日本での高校受験を目指すライバルと接する機会が少ないので、自分の相対的な実力がどれくらいなのかを把握できないという悩みをよく耳にします。そんな皆さんには、日本国内の生徒も受験する模試を受けることがお勧めです。模試を受験すれば、自分やライバルの実力を知ることができますし、それだけでなく、返却される成績表を見て自己分析することで苦手分野が分かり、成績アップに向けた学習プランを効率良く立てられます。
SAPIX国際教育センターでは、SAPIX中学部の公開模試「サピックスオープン」を海外にいながらにして受験できる「海外通信テスト」を実施しています。正確な学力を把握して学習の指針を立てるためにも、ぜひチャレンジしてみましょう。
海外通信テストのご案内
SAPIXが日本国内で実施している公開模試を、海外のご自宅で受験することができます。
お申し込みは模試単位で受け付けているため、1回だけ受験することも可能です。自分のスケジュールに合わせて計画的に受験し、学習に役立てましょう。
実施予定 |
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受験料 | 5,500円(税込)+送料 |
詳細・申込 | 詳細・申込方法はこちら |
出願・面接には計画的な準備と対策を
- 出願時に気を付けるべきことは?
帰国生入試では一般入試と比べて提出書類が多いので、準備には手間も時間もかかります。海外の現地校に書類の作成を依頼したものの、届くまでに時間がかかってはらはらした、という話もしばしば聞かれますので、書類の準備は早い時期からしておいた方が安心でしょう。また、気になる高校を見つけたら、自分が出願資格を満たしているかどうかも、早い段階からチェックしておきましょう。
- 面接試験対策の方法は?
帰国生入試では多くの学校で面接試験が課され、評価の対象として重視されます。面接攻略のためのポイントは三つ。一つ目は、面接におけるマナーを身に付けること。面接では質疑応答だけでなく、入退室や姿勢、言葉遣いなどのマナーも評価されます。正しいマナーを頭に入れて、繰り返し練習してみましょう。考えなくても自然と体が動くようになれば完璧です。
二つ目は、海外での経験についてまとめ、整理すること。滞在国について問われた際には、一つの回答に対してさらに深く問われる場合もあります。これらにしっかりと対応できるように、「滞在国で印象に残った経験」や「そのとき感じたこと・学んだこと」などの、自分にしか語ることのできないことを洗い出しておきましょう。
三つ目は、受験校の面接形態を知っておくこと。「個人か、集団か」「英語か、日本語か」など各高校の傾向に合わせた対策をしておけば、本番でも落ち着いて質問に答えることができます。
1月に開講する「帰国入試対策講座」では、各高校の面接形態をそのまま再現した面接練習を行います。
- 帰国生入試の面接試験で過去に問われた質問は?
「海外生活のなかで現地の人が大切にしていると感じたことは?」、「滞在国と日本の学校生活における違いは?」のように、海外での経験を踏まえて答えるものから、「本校の印象は?」、「建学の精神を知っていますか?」のように、国内の一般生に問うようなスタンダードなものまで、質問テーマは多岐にわたります。
海外での経験をまとめておくことはもちろんですが、志望校の校訓やその学校ならではの学校行事、教育プログラムなどについても、事前にしっかりリサーチしておきましょう。「帰国入試対策講座」の受講生には、過去の面接で出題された質問や先輩からのアドバイスなどをまとめた冊子『データブック&面接ガイド』をお渡ししていますので、効率の良い面接試験対策が可能です。