2022年入試の概況と結果
昨年に続き、2022年もコロナ禍の、しかもオミクロン株による第6波がピークを迎えるなかでの入試となりました。受験生本人やご家族はもちろん、各学校も細心かつ厳重な対策をして本番に臨んだのではないでしょうか。年末から1月にかけての入試直前期に帰国した受験生にとっては、入国後の待機期間も考慮した上でスケジュールを組む必要があり、大変だったと思います。
2022年入試の変更点
今年の帰国生入試における最大のトピックは、なんといっても慶應湘南藤沢高です。昨年まで、帰国生の募集人員は約30名でしたが、今年からは約20名になったことに加え、英検®準1級以上(またはTOEFL iBT 70以上/IELTS 5.5以上)が出願資格となったため、非英語圏に滞在していた方や、日本人学校に通学していた方にとっては、かなり高いハードルになりました。そのため、志願者数が大きく減少することも予想されましたが、実際には多少減りはしたもののそこまで変化はありませんでした。出願基準の英語資格を満たせなかった人がいた一方で、海外滞在中に努力して高い英語力を身に付け、受験に挑んだ生徒も多くいたのだと思われます。
試験の内容にも変更があり、昨年までの「英語・数学・国語・面接」から「数学・国語・面接」になりました。国語は「課題型小論文」ですので、日頃から日本語を書く練習をしていなければ対応は難しかったのではないでしょうか。面接は事前に告知されていた通り、約250語の文章を音読し、その内容に関して質問されるという形式で、文章を音読しながら内容の理解ができているかがポイントでした。
入試結果
また、ICU高の書類選考入試は例年1.8~2.2倍程度の倍率で推移し、180~200名程度の合格者を出していましたが、合格者150名で倍率2.7倍と非常に厳しかった昨年に続き、今年も合格者は絞られたようです(SAPIX調べ)。筆記試験がないため、模試の結果などで事前に合否を予想することが難しく、2月に早慶の附属・系属校に合格した生徒であっても、不合格になることは珍しくありません。帰国生入試で競い合うライバルは一般の国内生ではなく、自分と同等かそれ以上の成績や英語資格を持つ帰国生ですので、「帰国生入試や帰国枠入試なら受かりやすいだろう」と高をくくらず、受験に向けた学習と並行して、学校の授業や課題にもしっかりと取り組んでおきましょう。
筑駒高の海外帰国生徒枠の入試では、6名が出願し合格者は1名でした。昨年の合格者は2名だったので、2年連続で厳しい入試となっています。出願者数も、15名前後だったコロナ以前と比べて減少しています。筑駒高は、帰国生の受け入れを行ってはいますが、合格基準などで一般生と差をつけてはいないと思われるので、合格には一般生と同等の学力が必要です。
帰国生の受験勉強上の心構え
国語や英語で、理科・社会の内容や時事問題などをテーマにした文章問題が出されることがあるので、志望校の筆記試験が3科目という場合でも、理科・社会についてある程度知識を持っておいた方が良いでしょう。滞在している国や地域、あるいは通っている学校によっては、日本の理科・社会まで学習することは大変だと思いますが、現地校生やインター校生も大使館や領事館で日本の学校教科書を入手し、空いた時間に少しずつ読んでおくようにしましょう。
帰国生が受験する場合に注意すべきことは、①帰国生入試や帰国枠入試を受ける受験生同士の間には配慮の差はないこと、②したがって帰国生だから合格しやすくなるというわけではないこと、をしっかり認識し、③一般入試でも通用する学力を身に付けること、です。また、学校や塾の授業をオンラインで受講する場合は、配信された授業を受け身で視聴するのではなく、目的意識を持ち、対面授業以上に集中して臨むことが大切です。
SAPIX国際教育センターでは、海外在住の小6生・中3生を対象とした「帰国入試対策講座 オンラインコース」を2022年4月に開講します。海外滞在中から、授業動画の視聴にとどまらない、リアルタイムの双方向授業を受講することで、目的意識や集中力を高めることはもちろん、これまで海外生に不足していた演習量を確保し、帰国後の学習や受験にスムーズにつなげていきます。
海外生・帰国生の皆さんが、一般入試で通用する学力を身に付け、志望校合格に近づけるよう、SAPIX国際教育センターはこれからも全力でサポートしてまいります。
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