2021年入試の概況と結果
新型コロナウイルス感染拡大の影響
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大のために学校が休校になったり、都市がロックダウンされたりと、海外生・帰国生にとっても大変な一年となりました。速やかにオンライン授業にシフトした学校や塾もあれば、時間がかかったところもあり、当初は学習進度にばらつきが見られましたが、受験生の皆さんは、本番までにしっかり学習を積み重ねて受験に臨みました。今年度の受験対策はオンライン授業が中心となりましたが、それだけに、普段の学習への取り組みや理解度がそのまま合否結果に反映されることとなりました。オンラインで授業を聞いただけで「分かったつもり」になってしまった人と、授業で教わったことを使ってきちんと「問題を解ける」ように努力できた人とで、大きな差がつきました。
各校での対応
入試形態に関しては、休校期間を考慮して出題範囲を削減する学校や、面接試験を中止する学校、例年とは異なる入試日程を設ける学校などがあり、対応はさまざまでした。さらに、近年増加傾向にあった海外会場での入試についても、中止したり、書類とオンライン面接だけに切り替えたりする学校が多く、国内外を問わず、入試の形態は大きく変化しました。まだまだ先の見通しが利かない状況ですが、日本の高校の受験を予定している皆さんは、これまで通りの学習を心掛けましょう。
入試結果
次に、今年度の各校の入試結果についてです。ICU高の書類選考入試は、例年400名前後が受験し、180~200名程度の合格者が発表されていましたが、今年度は150名しか合格者が出されず、受験生にとって非常に厳しい入試となりました。慶應義塾高では、二次試験の面接が中止となり、筆記試験と書類選考のみで合否が決まりました。また、学芸大附高の帰国生入試で実施される面接試験では、受験生同士の接触を避けるために、例年のグループディスカッション形式ではなく、個人面接に変更されました。筑波大附高の海外帰国枠は、昨年までは現地校生・日本人学校生それぞれ3名程度の募集でしたが、今年からは「合わせて3名程度」になり、合格者は3名でした。そして筑駒高では、海外帰国生徒枠で15名が出願し、合格者は2名でした。ここ数年は7~8名の合格者が出ていたので、今年度は厳しい入試だったといえます。先述の通り、授業を受けるだけで安心せずに、しっかりと内容の理解と定着を図るよう、家庭学習も同様に充実させる必要があります。
2022年入試の変更点と学習の心構え
2022年以降の入試に向けて
帰国生入試を実施している一部の私立高校では、一般入試に比べると帰国生が合格しやすい傾向があります。しかし、受験生のレベルは年によって変わるので、合格ラインは常に一定というわけではありませんし、帰国生への配慮は帰国受験生全員に等しくなされるものですから、帰国生同士で差はつきません。筑駒高のように一般生と同等の得点が必要と思われる学校もあるので、帰国生への配慮の有無にかかわらず、一般入試でも合格できるだけの学力を身に付けることを目指した学習を心がけましょう。
2022年入試の変更点
2022年入試では、慶應湘南藤沢高で、出願に当たって「英検®準1級以上」など英語資格の所持が必須となり、英語の筆記試験が廃止されます。これまでは、近くに英検®準1級以上の試験を受けられる正会場がない海外生にとって、その取得は困難でした。しかし現在では、英検®には1Day実施でなおかつ従来の試験よりも実施回数の多い「英検® S-CBT」があるため、日本に一時帰国するタイミングでの受験もしやすくなりましたし、TOEFLには自宅受験可能な「TOEFL iBT Home Edition」ができました。慶應湘南藤沢高を志望する場合は、早いうちから英語の力を鍛えて、海外滞在中に英検®準1級またはそれに相当するTOEFLなどのスコアを達成できるように取り組んでいきましょう。
今後も入試の形式や出願資格などを変更する学校が出てくる可能性がありますので、情報収集と学力向上を並行して行っていきましょう。
SAPIX国際教育センターでは、5月にオンラインで「帰国入試進学セミナー」と個別相談(申込制)を実施します。今後も定期的に相談会などを実施していく予定ですので、ぜひ、ご活用ください。