2020年 帰国入試概況
今春、SAPIXを卒業した帰国生の出願校数は、男子が平均6.1校、女子が5.5校でした。最多出願校数は男子が13校、女子が9校です。2019年入試では男子が6.4校、女子が5.8校だったので、1人当たりの出願校数はやや減少していますが、例年5~7校となっています。
近年ではシンガポールやニューヨークなど、海外の都市で入試を実施する学校も増えています。これらは一般入試に先駆けて10月~12月に実施されるため、海外生や帰国生は国内の一般生よりも多くの学校を受験するチャンスがあります。一方で、1月下旬に実施されるICU高書類選考入試の倍率は、ここ数年2倍前後で推移しています。さらに、昨年から帰国生入試を導入した中大附高では、男子が2.23倍、女子が3.63倍と、非常に厳しい入試だったことが分かります。一つ一つの試験に向けて、しっかり準備することが必要です。
海外滞在中の受験対策と長期休暇中の学習
帰国生の募集を行う高校の多くは、一般入試の募集人員の中に帰国枠を設置していて、帰国生にも一般生にも同じ内容の筆記試験を課します。早慶高などの難関校の英語に関しては、一般入試であっても英検®2級程度の力が求められ、長文読解はもちろん語彙や文法問題も、公立中学校で学習する内容を超えて出題されることが多くあります。このような試験に対応するために、国内の一般生もかなり高いレベルの実力を付けているので、帰国生だからといって安心はできません。現在、海外にお住まいの方の中には、非英語圏の方もいれば、日本人学校在籍の方もいることでしょう。しかし、日本国内に比べれば、はるかに英語に触れる機会が多いのではないかと思います。海外滞在中に、少しでも高い英語力を身に付けられるように、日々の生活の中でも意識しておきましょう。
数学は正確に計算する練習をしておくこと、関数や相似について正しく理解し、公式や定義・定理を使えるようになっておくことが大切です。国語については、小説や新聞を読んで日本語の語彙を増やし、漢字の学習にも励みましょう。
長期休暇中の学習は受験生にとって非常に重要です。毎年セミナー等でお話ししているとおり、長期休暇は「勉強をしなくて良い期間」ではありません。よく「何をすれば良いのか分からない」という質問を受けますが、一つのアドバイスとしては、学校の時間割と同じように各教科の勉強をしてみると良いでしょう。志望校の試験が3教科という人も、この機会に理科・社会の教科書を読んで、一般常識や、現代社会における重要なキーワードなどを把握しておきましょう。
2021年以降の入試の変更点
例年、初夏から秋にかけて各高校が次年度の入試要項を発表します。受験を検討している高校のホームページなどをチェックし、情報収集をしましょう。特に帰国生入試は、出願資格が複雑だったり、提出書類なども一般入試とは異なったりする場合があるので、早めに受験計画を立て、準備を始めることが大切です。