2020年入試の変更点
今年も帰国生入試や、多くの帰国生が受験する高校の入試において、いくつかの変更がありました。最も大きかったのは、早大本庄学院が従来の2次試験(面接)を廃止し、筆記試験のみにしたことです。寮があることで、保護者の方がまだ帰任できない海外生や遠方に住む生徒に人気の学校ですが、受験しやすくなった一方で、合格者の手続き率が下がり、多くの繰り上げ合格者が出ました。ICU高の推薦入試では、現地校・インター校出身者は、英検®準1級以上、TOEIC790点以上、TOEFL iBT79点以上のいずれかの取得が出願の条件となりました。慶應湘南藤沢高でも2022年入試より、英検®準1級またはTOEFL iBT70点以上が出願条件になることが発表されています。このように、英語資格の取得が今まで以上に重要になってきていることがうかがえます。
非英語圏にお住まいの方や日本人学校にお通いの方にはかなり高いハードルとなりますが、滞在中にできるだけ高い英語力を身に付けられるように、日々の生活の中でも意識してください。既に帰国している方は、英語力を落とさないようにしていきましょう。
ICU高の書類選考入試は、筆記試験がなく書類と面接だけの入試で受験しやすいこと、1月末に実施されるため早い段階で合否が出ることなどから多くの帰国生が受験していて、ここ数年は毎年400名程度が志願し、倍率は2倍前後となっています。今年は380名が志願し、面接を受験したのが347名で、合格者は184名。倍率は1.9倍という結果でした。このように帰国生に人気の書類選考入試ですが、出願書類の内容(現地で通っていた学校の成績など)が良かったとしても油断してはいけません。その後に続く早慶高の入試で合格するような、実力のある生徒でも、この書類選考入試で不合格になることもあるからです。早大本庄学院のI選抜などと同様に、人気校の書類選考入試や推薦入試は全員が必ず合格できるわけではありませんので、学校の成績や英語の資格試験取得と並行して、筆記試験でもしっかり合格できるだけの学力を付けておくことが必要です。
中大附高は、今年が2回目の帰国生入試となりましたが、昨年より特に男子の受験者を増やし、難化しました。学芸大附高は、帰国生の志願者数が大きく減少しました。ここ数年、志願者数の増減を繰り返していますが、今年はこの5年で最も少ない人数でした。
筑駒高はここ数年安定して20名程度の帰国生が受験していて、合格者は7名程度ですが、今年は志願者が14名、受験者が12名、合格者が6名でした。海外滞在中から、しっかり5科目の学習を進めている受験生が一定数いることが分かります。同校を志望する海外生の皆さんは、日本人学校の教科書を熟読するなど、滞在中から理科・社会の学習に取り組んでおく必要があります。教科書は大使館や領事館で入手可能ですので、現地校やインター校に在籍していても大丈夫です。
情報収集も重要に
受験に際しては、学力を高めることはもちろんですが、特に帰国生入試では出願基準や試験科目などが一般入試とは異なる場合も多くあるので、情報収集も欠かせません。2021年入試でもいくつかの学校が変更予定を公表していますが、既に分かっているところでは、筑波大附高の募集人数変更と本郷高の募集停止、千葉県公立高の試験回数変更があります。筑波大附高は、これまで、現地校出身者と日本人学校出身者についてそれぞれ約3名の募集を行っていましたが、2021年入試から、現地校・日本人学校出身者を合わせて3名程度の募集になります。本郷高は、高校募集を停止して完全に中高一貫校となります。千葉県公立高は、これまで前後期の2回、入試を実施してきましたが、2021年からは2月下旬の1回のみになります。これから秋にかけて多くの学校が来年の募集要項を発表していきますので、注意しておきましょう。
SAPIX国際教育センターでは、国内外で実施するセミナーや帰国生対象講座などを通じて、海外生や帰国生の皆さまへの情報提供や学力向上をサポートしていきます。