SAPIX国際教育センターでは今年も「帰国入試対策講座」を開講しました。日程は1月7日(火)から2月7日(金)までの期間中25日間です。ここでは多くの海外生・帰国生が栄冠を勝ち取った同講座を紹介するとともに、本番さながらの緊張感あふれる模擬面接の模様をレポートします。
5科目・3科目の志望校別クラス 5時間×25日間で実戦力を磨く
「帰国入試対策講座」は午前10時15分の朝礼から始まります。授業は10時30分から16時15分まで、45分間の休憩を挟んだ計5時間。クラスは5科目・3科目の志望校別に少人数で編成され、過去問や最新の入試動向をベースに、実戦的なカリキュラムが組まれています。
かつて帰国生は早慶など大学附属校を志望するケースがほとんどでしたが、ここ4~5年は全員が一斉に高校生活をスタートできることが魅力の公立校の人気が上昇し、5科目を受講する生徒が増えています。本講座では英・数・国の3科目の手厚い指導はもちろんですが、理・社も90分授業を12回ずつ開講し、5科目入試にも万全の態勢で臨めるようにしています。
帰国生は英語を得意とする場合が多いですが、日常生活で使う英語と高校入試の英語には異なる部分もあるため、注意が必要です。英語検定試験の資格やスコアを持っていても満点を取れるとは限りませんし、文法問題や知識問題ではなかなか点数が伸び悩む生徒もいます。たとえ英語に自信があるとしても、受験英語には真剣に取り組むことが大切だといえます。
次に、国語で注意したいのが、漢字の書き取りです。海外では漢字を目にする機会が激減するため、うろ覚えになりがちです。本講座では朝礼後に毎日、漢字の小テストを実施。トメ、ハネなどの細部もきちんと指導し、基準点に達しない生徒には追試を行っています。分からない単語が出てきたらその都度辞書を引く習慣を身に付けることも重要です。
数学は演習量が不足しがちです。特に関数と絡めた図形問題は、海外ではほとんど扱うことがないので、不慣れな生徒が一定数います。基礎的な問題や計算問題を取りこぼさない戦略も重要です。ケアレスミスをなくすためにも、途中式をきちんと書くように講座でも指導しています。なお、慶應女子高、早大学院で出題される作文・小論文対策として、希望者には添削指導を行っています。
模擬面接も志望校別 質疑応答をリアルに体験
帰国生入試では多くの高校が面接試験を課しています。例えば、学芸大附高では日本語によるグループディスカッション、青山学院高ではグループ面接、慶應湘南藤沢高や渋谷幕張高では英語を交えた個人面接、早慶高やICU高では日本語による個人面接、中大杉並高では自分の意見を述べるスピーチ、などが行われます。面接時間や質問の傾向はそれぞれ異なるため、本講座では週に2回、授業後に2時間程度、模擬面接を繰り返し実施しています。
SAPIX国際教育センターでは、毎年、卒業生から入試に関する詳細な聞き取り調査を実施することにより、学科試験の問題、面接室のレイアウトや質問内容などのデータを蓄積し続けています。
帰国生入試のための勉強は、自己流で始めないことが重要です。滞在している国や地域、あるいは志望校ごとに適切な対策があるので、早い段階でSAPIXにご相談ください。
模擬面接レポート 本番さながらの質疑応答を展開
グループ面接では他者の発言時の態度に留意
青山学院高を想定したグループ面接には、アメリカやオーストラリアから帰国した男女4名が臨みました。1問目の「現地の言葉で自己紹介してください」という質問には、各自が英語で回答しました。
2問目は「これだけは誰にも負けないというものを日本語で」という質問です。それぞれ「知的好奇心」「自己表現力」「積極性」「リーダーシップ」について、20~40秒で答えました。
3問目は隣の人と互いに英語で質問し合うというもので、「滞在国の第一印象は?」など、会話が盛り上がりました。
4問目は「あなたの海外生活を感じ1文字で表すなら?」など、一人ひとり違う質問が出ました。最後の5問目は「入学後の抱負」について。こうして約13分で終了しました。
全員がいったん退室してから再入室し、面接官役から講評を聞きます。声の大きさとトーン、話の簡潔さ、入退室のマナーを確認した後、「他の人が質問したり答えたりしている時のリアクションが大切」「ニコニコ、ハキハキ答えるだけで印象が変わる」「同じような答えが先に出てしまったら、それとは異なる言葉を付け足す」などの具体的なアドバイスを受け、全員がうなずいていました。
想定できる質問には英語での回答も準備しておく
次に行われたのは、慶應湘南藤沢高(SFC)を想定した個人面接。最初の「志望理由を英語でお願いします」という質問に、男子生徒は「SFCは校風がフレンドリーであり、世界各国から生徒が集まっている点で刺激を受けるから」と英語で回答。面接官役からの「慶應義塾大学への進学では何学部を目指すか」という英語の質問には、断りを入れてから、「目標は経済学部。金融関係で働く祖父が世界中を飛び回っているのを見て憧れたからです。また、自分の海外経験も大いに生かせるのではないかと考えました」と日本語で回答しました。
その後、「将来の夢」「学校で力を入れていたこと」「滞在先での観光スポット」「現地滞在中に旅行した所」「現地が抱える社会問題」「日本に帰国して感じたこと」と、生徒の回答に応じて質問が続き、約7分間で終了しました。
再入室後の講評では「回答する時は落ち着いてゆっくりと」「日本語で事前に答えを用意できているなら、英語でも用意しておくこと」「あいさつとお辞儀は別々の動作で」「入学したいという熱意が伝わるようにするとよい」など、細やかな指摘がなされていました。