社会の学習法③
前回のつづきから、高学年での社会科の学習について、分野ごとに考えていきましょう。地理分野の学び方
地理の学習では、想像力が重要になります。行ったこともない地域の地形や気候を学び、そうした環境ではどのような産業が育つのかをイメージしていくからです。海外に住んでいると、「日本に住んでいないし、行ったことのないところばかりだから日本の地理はなかなか分からない」と思いがちになるかもしれませんが、日本国内の小学生たちも、日本全国各地に行った経験があるから日本の地理をよく知っているというわけではありません。
日本に住んでいるだけで自然と学べるということは決してなく、地図帳や参考書を使い、あるいは塾の授業を受けて、体系的に知識を身につけていくことで、イメージする力を養うことができるようになります。
歴史分野の学び方
はじめて歴史に触れるときの子どもは、大人がこれまでの経験から常識的に知っているような「歴史に関する予備知識」を何も知りません。そのため、いきなり歴史の流れを理解しようとするのは非常に難しいことだといえます。流れを理解するための土台を作るために、まずは基本的な歴史年代とできごとをピックアップして、ごろ合わせでもいいいので覚えていきましょう。そのときは、ただ暗記をするのではなく、基本的なできごとを頭の中で年表形式で並べながら、歴史の時間軸のものさしを作ります。いったんある程度のものさしができれば、その後の学習では細かい事象を当てはめたり、異なる時代・歴史との比較を行ったりして流れを理解するという作業が可能になります。
歴史マンガやドラマなどから学習していこうとする方も多いと思います。どちらも歴史に興味を持つきっかけにはなりますが、実際の歴史上のできごとは、マンガやドラマの中では描かれていないことがたくさん起こっています。また、作品としてより印象的にするために、脚色されていることもあるでしょう。学習教材というよりも、あくまで概要を把握するためのものとして考えるのがよいといえます。
公民分野の学び方
公民は、地理や歴史とくらべても非常に抽象的な内容が大部分を占めるうえ、日本国内の塾でも学習に割く時間は他の分野よりも短く、ハイペースなカリキュラムになっています。どうしても敬遠しがちな分野ですが、学習するときには以下のポイントに気をつけましょう。- 政治の仕組みをよく理解する
公民という分野には多様な内容が含まれますが、その中心にあるのは「政治」です。政治とは一体どういうものなのかを理解することが、公民を学ぶ上での基本になります。教科書にものっていますし、日本の学校では副読本として日本国憲法の入門書が配られますが、現在進行形で動いている社会の仕組みやルールを学ぶには、それらを読むだけでは十分ではありません。最初に丁寧に理解したうえで学習を進めていくことが重要です。 - 入試での出題傾向に注意する
公民の出題範囲が地理・歴史に比べて少ない学校がある一方で、公民を非常に重視している学校もあります。また出題される範囲も、中学校で学ぶような経済分野などが出題されたり、憲法条文の穴埋めや憲法改正の流れなどの基本問題にとどまらない難度の高い問題が出たりと、学校によってさまざまです。出題の傾向が年によって変わることはありますが、問題の難度が大幅に変わることはあまりないので、過去問を解いてどの程度得点源にできるのかあらかじめ把握しておくとよいでしょう。 - 時事問題対策を行う
今の社会の仕組みを学ぶ分野であるため、世の中に動きに関しての出題が多く見られます。言葉・単語として「聞いたことがある」だけではなく、問題の本質を理解しているかどうかを問われる問題が出題されます。日頃からニュースに親しみ、新聞を読み、家族で会話することが重要です。
暗記について
社会科の学習は暗記だけではありませんが、知識がなければ考える材料も得られません。また、多くの学校の入試問題は「知っている・知らない」を問うレベルで作られています。体系的な知識をきちんと覚えることもとても大切です。暗記をする上では、以下のポイントを意識しましょう。
- スピード重視
子ども達の柔軟な頭脳は、丸暗記が得です。その柔軟さをいかすためにも、短時間で何回も繰り返す、スピードを重視した暗記を実践しましょう。そのためには、「書いて覚える」よりも「唱えて覚える」方が効果的です。声に出して読み、視覚だけでなく聴覚も使うことで、より脳に印象付けることができます。 - 「組み合わせ」暗記
知識を暗記するというのは、対応する知識のセットを増やす作業です。歴史上の「できごと」とそれが起こった「年代」、あるいは「農作物・名産品」とその「産地」など、2つ1組で覚えていって、どちらかが出題されればもう片方がすぐに思い浮かぶように身につけていきましょう。
»次回は、英語の学習法を掲載いたします。