社会の学習法②
社会科は理科と同様に、高学年から本格的な受験科目としての勉強がスタートする教科です。低学年と高学年のそれぞれの段階で、そのような学習が必要なのか考えてみましょう。
低学年の社会科の学習
低学年のうちは、「社会科」と名のつくような学習は特に必要ありません。問題集や参考書を使った学習に入る前に、さまざまな事象を見聞きし考えていくことが大切です。これは、積極的に日本や世界の国々を旅行しながら各地の地理・歴史を学んでいきましょう、という意味ではありません。もちろん、旅行を楽しみながら学習もできたら理想的ですが、前提となる知識がない状態では、案外この二つは簡単には結び付かないものです。
低学年では、遊びと学びを無理につなげるのではなく、もっと身近な生活の中から学べる材料がないかを考えていきましょう。
たとえば、家でのお手伝いなどはとても有効です。
1950年代の日本では、「三種の神器」とよばれる家電製品が急速に普及していきました。これを答えさせる問題も多いのですが、さらにグラフを使って、どれが最も早い時期に普及したかを答える問題などもみられます。どの製品が誰にとって需要があったか、実際に家事を経験してみることで、自分で考えていくことができるようになり、このような応用的な問題にも答えられる力が身に付きます。
さらに、買い物や料理も積極的に親子で行うとよいでしょう。
地元のスーパーや市場では、並んでいる商品やその陳列方法などから、その土地の社会的特性を学ぶことができます。日本のスーパーやコンビニなどと比較して違いを考えてみるのも効果的です。旬の食材や産地なども、料理のお手伝いをすることで少しずつ覚えていくことができそうですね。
最初はあまり難しく考えすぎずに、品揃えや販売方法、価格や産地など気付いたところから目を向けることができるといいでしょう。だんだんと習慣づけていくことで、入試で出題されるような地理・歴史・経済など様々な知識を総動員して分析しなければならない問題にも答えられる力がついていきます。
高学年の社会科の学習
日本国内の多くの塾では、4年生から本格的な社会科の学習がはじまります。カリキュラムはそれぞれですが、地理分野だけでも、さまざまな地形・気候と各地の生活や産業のかかわり、第一次産業・第二次産業・貿易・交通、環境問題など、5年生の夏ごろまで時間をかけて学習します。
さらに5年生の後半から歴史の単元がはじまり、6年生の春ごろまで日本史の学習をさまざまな視点から繰り返し学び、最後に公民分野を学んで6年生の夏までに新しい単元の学習が終了します。およそ2年半かけて学んだ知識を、残り半年で問題演習を通じて実践的な得点力に変えていくのです。
暗記科目の社会科は最後の追い込みがきく、半年かければ十分間に合う、などと言われることもありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。
社会科の入試問題では、思考力や記述力を問う、単なる暗記にはとどまらないレベルの学力が求められます。じっくりと時間をかけて取り組むべき教科であると認識した上で、計画的に学習を進める必要があるでしょう。
»次回は、社会の学習法③を掲載いたします。