理科の学習法①
海外にいるとどうしても後回しになってしまう教科が、理科と社会です。
海外セミナーなどの際に学習相談でお話を伺っても、「算数と国語は何とかやらせているのですが、学校の課題も多くて、とても理科や社会まで手が回りません」とおっしゃる方が少なくありません。
しかし、帰国生を積極的に受け入れている中学校でも、入学後は一般受験をした国内生と一緒に授業を受ける場合がほとんどです。算数・国語・理科・社会の4科目をしっかりと学習してきた生徒と同じ授業を受け、同じテストを受けることになるのです。
そう考えると、海外にいながらでも理科と社会をおろそかにせず学習することの重要性が分かります。
理科と社会については、今までの2科目以上に丁寧に学習法を考えていくことにしましょう。
低学年の理科の学習
低学年の学習では、理科に興味を持たせることを主眼とします。小学生で学ぶ理科は、世の中の様々な自然現象、身近な事象について、科学の視点から理解するためのたくさんのツールを身につけることが目標です。
高校生になってからは、生物・物理・化学・地学、さらには有機化学や無機化学など、細分化しつつ専門化していく学習に入っていきますが、小学生で学ぶ理科は、まさに自然科学の入り口として、基礎的な科学的思考法を学ぶという、実に楽しい学習が待っているのです。
まずは親子で、近所の自然博物館に行くところからスタートしてみましょう。
博物館のような施設は、子供たちに科学の楽しさを味わってもらうための様々な工夫がありますので、じっくりと見て回るだけでも、子供が興味を持つ事柄が分かってきます。
次に、図鑑をそろえてみてみましょう。昆虫や植物などの図鑑を、子供の手が届くところに並べてください。
もちろん、日本の書籍である必要はありません。日常や学校の学習でふと気になったことがあれば、すぐに図鑑を手に取って調べる習慣を身につけましょう。
こうした調べものはインターネットでもできますが、必要な情報が簡潔に分かりやすく理解できるという点においては、やはり紙の書籍が望ましいです。何かを調べるついでに、隣の昆虫の写真に目をとめる、そうしたことがとても大切です。
最近の入試では、身近な科学がテーマとなることが多くなりました。
だからというわけではないですが、日常生活で目にする事象を、科学の目で見直してみるという姿勢も大切です。
冬の早朝に窓ガラスが結露していたとき、どの部屋のガラスが一番結露が多いか、それはなぜか、あるいは木の窓枠とアルミサッシでは結露に違いがあるのか…など、親子で一緒に探索してみるだけでも面白いものです。あるいは、料理で何かを煮ていたとき、なぜフタをすると吹きこぼれてしまうのかを考えてもよいでしょう。
2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典東工大栄誉教授が、小学生のころに愛読していたことで話題になった「ロウソクの科学(The Chemical History of a Candle)」という本はご存知でしょうか。
電磁誘導の研究で知られる大科学者マイケル・ファラデー(Michael Faraday)が、晩年の1860年にロンドン王立研究所でクリスマスに行った有名な講演を本にまとめたものです。1本のロウソクを題材に、科学の面白さや驚きを伝える名講演は、150年を経た現在でも、私たちに科学の本質を伝えてくれます。ぜひ、親子で一緒に読んでみてはいかがでしょうか。
»次回は、理科の学習法②を掲載いたします。