学校の選び方⑩
海外のセミナーで保護者の方とお話していると、「子どもの英語力に見合った学校はどこでしょう?」といったご相談を受けることがあります。
アメリカやイギリスなど英語圏の現地校に通っていたり、非英語圏であってもインターナショナルスクールに通っていて、ネイティブ並みの高い英語コミュニケーション力を持っているお子さんにとっては、中学校の受け入れ態勢や英語の授業内容についてはとても気になることと思います。
一般的に、帰国生を多く受け入れている学校の対応は以下の4パターンに整理できます。
- 帰国生のみ、または一般生の希望者を含めて構成された国際学級があり、高校3年生まで他の一般生徒と別の授業が行われる。
- 最初は帰国生のみの特別クラスだが、途中で一般生と合流する。
- 一般生と同じクラスだが、英語のみ取り出し授業が行われる。
- 一般生と全く同じクラスで同じ授業が行われる。
1のパターンでは東京女学館のように、6年間クラス替えがない国際学級で授業が行われる学校もありますが、やはり少数派です。
上記2のパターンの学校としては、攻玉社が中3まで、成蹊では中1までが国際学級として授業が行われた後に一般生と合流します。
やはり多いのは、3と4のパターンです。
聖光学院では英語のみ取り出し授業を行っているものの、クラスは一般生と同じですし、帰国生入試で150名以上の合格者を出す都市大附属では、クラスも授業も一般生と同じで、希望者のみ英語の取り出し授業を受けられることとしています。
帰国生入試を別枠で実施する学校の意図としては、多様なバックグラウンドや高い英語コミュニケーション力を持った生徒達と一般国内生が交流することで生まれる効果を期待しているわけですので、国内一般生と帰国生を完全に分離するよりは、相互の交流を促進する体制を作っているものと考えられます。
そして生徒も、帰国生のみで狭い集団を作るよりは、一般生と幅広い交流を行うよう努めるべきだといえるでしょう。英語の学習に関しては、学校以外にも、TOEFLにチャレンジしたり、英語系のサークル活動に参加したり、あるいは塾を活用したりと、自分自身で目標を持って努力していくことが大切です。
むしろ、注意しなくてはならないのは、英語以外の教科の学習です。
帰国生入試を行っている学校といえども、定員の9割以上は日本の国内生なわけですから、学校の授業も国内生の学力水準を基準として行われていきます。そこでは、「帰国生だから国語が不得手でもOK」「日本の歴史を知らなくても大丈夫」といった考えはありません。6年後には日本国内の大学受験を行うことを前提に、国内生に引けを取らないだけの学習を積み重ねる必要があるのです。