学校の選び方④
A.教育理念
とかく偏差値で語られる事の多い学校選びですが、最も重要なのは、実は「教育理念」になります。学校をつくり動かすのには膨大なエネルギーが必要です。思いつきやビジネスとして行えるものではありません。どの学校にしても、過去のある時点で、教育についての人並ならぬ情熱を抱く人物がおり、その人物を支える人たちがいて、様々な困難を克服して学校を設立しています。そうした人物たちの、教育にかける熱い情熱が学校の教育理念となっているのです。
中高一貫校の場合は、12歳から18歳という最も多感な時期のほとんどを学校で過ごします。どのような理念のもとに学校の先生方が生徒を指導しているのかこそが、真っ先にチェックするべき項目です。
そのためには、学校説明会などの機会を利用して直接学校の先生のお話をうかがうのが一番です。海外にいてなかなか説明会に参加できない場合は、まずは学校のHPを見てください。学校の沿革・創立の思い・校長からのメッセージなどを読むところから学校選びをスタートしましょう。
B.進学実績
学校が公表するデータの中で、比較しやすく客観的なデータが大学の進学実績です。どのような大学に何人合格しているのかを詳細に見ていくと、その学校の生徒のレベルや指導体制がうかがえます。
その際に留意したいのが、現役合格者の人数です。「東大10名合格!」と謳っていても、実は現役合格者が2人しかいなければ、その実績は学校の指導力の賜物なのか、あるいは卒業後の生徒個人のがんばりによるものなのかが分かりづらいです。学校によっては、現役合格者の人数をHPでは公開していなかったり、あるいは過去3年間の累積合格者しか公表していない場合もありますので注意しましょう。
C.クチコミ・評判
学校選びの際に、一番気になるのがこうしたクチコミ・評判ですね。とくに海外にいるとどうしてもネット情報に頼らざるを得ないため、ネット掲示版等の情報は気になることでしょう。
しかし、言うまでもないことですが、ネットのクチコミ情報をそのまま信用することはできません。良くてもせいぜい一個人の限られた体験に基づく感想にすぎず、多くの場合は体験ですらありません。
また、ネットではなく知人から聞いたクチコミ情報だとしても、個人の主観的な感想であることに留意しましょう。
生徒管理が厳しいと噂される中学に進学した生徒が、「思ってたより全然自由ですごく楽しい学校だよ。」と言っていたり、お嬢様学校といわれる女子校に進学した生徒が、「個性的な生徒とおもしろい先生がとても多い。」と目を輝かせていたこともあります。こうした生の情報は信頼はできますが、あくまで個人の主観ですので、そのまま自分の子供にあてはまるわけではありません。
以前、子供の成績レベルと比べて偏差値30ほども下のレベルの学校を第一志望にした男子のお母様がこうおっしゃっていました。「何度か学校にうかがい、いろんな先生方と話してきました。すばらしい学校ですよ。ぜひ息子を通わせたい学校が見つかったのです。」このお母様は、ご自身もある大学の教授をなさっている方でしたが、息子が塾で勉強中は近所のコーヒーショップで自分の勉強をなさっていました。「私のゼミの生徒よりも息子のほうがよっぽど真剣に勉強していますね。だから私も、息子が勉強している時間は勉強することにしているのですよ。」
こんなお母さんなら、子供も信頼して受験に臨めそうですね。